半発酵茶製造工程概略:萎凋→揺青→殺青→揉捻→コウ焙
皆さんに最もなじみ深いのが青茶でしょう。なぜなら烏龍茶は青茶の仲間だからです。最近では青茶を総称して烏龍茶と呼ばれることが多いのですが、本来は茶樹「烏龍種」から作られたものをいいます。青茶は半発酵茶ですが、緑茶に近いものから紅茶に近いものまであり、数ある茶葉それぞれの美味しさを最大限に引き出すための微妙な製造工程は職人技と言えます。
青茶は産地で分けると福建省のみん北青茶・みん南青茶、広東青茶、台湾青茶があります。みん北の代表は岩茶、みん南は安渓の鉄観音、広東は鳳凰単叢、台湾は凍頂烏龍が有名です。
青茶に使われる茶樹は100種類以上と言われます。それぞれのおいしさを引き出すための製造行程は微妙に異なり、できあがった茶葉の形も珠状や長く大きな形など様々です。発酵度の範囲も広く、不発酵の緑茶に近いものから完全発酵の紅茶に近いものまであるので、香りや味わいも幅が広く、清々しい・花のよう・口の中にふわっと広がる・馥郁とした・重厚・香ばしい・やさしいなど、表現はまるでワインのような深さです。
茶壷(急須)や蓋碗、工夫茶器を使うなどの方法がありますがいずれにせよ沸騰した湯を用意し、茶器に注いで温めます。温まったら湯を捨てて茶葉を入れます(大きな茶葉の場合は多めに入れる)。湯を注ぎます。蒸らし時間は好みによりますが最初は20秒ほど。茶湯は注ぎきります。茶葉が茶湯に浸かっていると渋みが出やすくなります。二煎目、三煎目と重ねるごとに蒸らす時間を少しずつ長くしてください。立ち昇る香り、口に含んだ時の味、喉から感じる薫香、また、一煎目と二煎目の違いなど、たっぷりお楽しみください。
■武夷岩茶(ぶいがんちゃ)/みん北青茶
奇岩が連なる武夷山の岩肌で栽培されるお茶。中でも大紅袍/だいこうほう、鉄羅漢/てつらかん、白鶏冠/はっけいかん、水金亀/すいきんき、は4大名叢と呼ばれる名茶。「岩韻」/がんいん、と言われる力強く深く芯が通った味わい、喉に戻る香りが特徴的です。
■安渓鉄観音(あんけいてっかんのん)/みん南青茶
鉄観音とは茶樹の品種名で安渓原産の茶樹。茶葉を摘んでから製品になるまで10通り以上のプロセスを要する、手間のかかるお茶です。味わいは岩茶の「岩韻」に対して「音韻」と呼ばれ、余韻が長く風格を感じます。
■鳳凰単叢(ほうおうたんそう)/広東青茶
潮安県の鳳凰郷の鳥来山に生育する水仙種の茶葉を使いますが他の樹の葉と混ぜずに一株ごとに製造される「単叢」という方法で作られています。
■凍頂烏龍茶(とうちょううーろんちゃ)/台湾青茶
凍頂山一帯を産地とし、「青心烏龍種」と呼ばれる茶樹が基本的な品種です。出来上がった茶葉は、堅く締まった球状ですが、湯を注ぐと見事に茶葉の形になり、驚くほどかさが増えます。
大紅袍(だいこうほう)
(みん北青茶/武夷岩茶)
樹齢400年の古木は3本しか残っていない。手に入るのは子孫の茶樹。
武夷岩茶 水金亀(ぶいがんちゃ すいきんき)
マスカットのような風味でファンも多い広東を代表する烏龍茶。
鉄観音(てっかんのん)
(みん南青茶)
ほどよい渋み、喉から戻る香りが味わい深い。
蜜蘭香単叢(みつらんこうたんそう)
マスカットのような風味でファンも多い広東を代表する烏龍茶。
高級 白芽奇蘭( こうきゅうはくがきらん)
蘭の花のようなあでやかな香り、深みのあるコクのある味わい。
凍頂烏龍茶(とうちょううーろんちゃ)
台湾の凍頂山一帯で採れる。香り・味とも爽やかで飲みやすい。